四季の音楽を発表してからはや2年が経ってしまいましたが、ここに新作「Pallete」をご紹介できることを私自身とても嬉しく思っています。
ピアノ弾きの端くれに身を置く者として、ずっとピアノ曲集を作ってみたいという気持ちがありました。しかしシンプルな音楽ほど難しいと言いますか、誤魔化しがきかないので、制作者としてはかなり厳しい挑戦でもあり、躊躇していた面も否めませんでした。
幸いと言うべききか、不幸にもと言うべきかわからないのですが、今までお世話になってきた長銀(新生銀行)退職やむなしという状況となり、音楽をもって新しい人生を切り拓いていこうという決意を固め、以来その第一歩とすべく課題だったピアノ曲集作りに取り組んでまいりました。
今回のピアノ曲集を制作するにあたって、まずピアノの音色というものがまず最大の課題となりました。満足できる音を求めて新たな制作環境を整えるところから始まり、試行錯誤を繰り返し、やっと完成したのがこの「Pallete」です。
本アルバム「Pallete」は、サブタイトルに「Piano Improvisation」とありますように、私がピアノの前に向かって、その瞬間に頭に浮かんだメロディやアドリブ演奏をそのまま録音し、曲の骨格として使用するという、いわば即興音楽の路線に近いものです。曲作りの手法がガラッと違いますし、リズム楽器も一切使っていないこともあって、従来の作品とはずいぶん印象が違うかもしれません。
この曲集は私にとっても新しい試みでもあります。この音楽が皆さんにはどのように響くのでしょうか? 楽しみでもあり、怖しくもあります。まずはお聴きになってみてください。